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三笘薫の使い方を誤ったデ・ゼルビ監督。ブライトンの攻撃が停滞した理由とは【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

ブライトンの攻撃が機能しなかった理由


 実際に昨季も三笘が内側のレーンでプレーしたこともあったが、今節との大きな違いは、代わりに大外のレーンでプレーした選手の特性だ。

 昨季はアップダウン型のSBであるペルビス・エストゥピニャンが、三笘の外を上下することでこのシステムが機能をしていた。しかし、同選手が怪我で離脱していた今節はインサイドハーフのジェームズ・ミルナーが大外のポジションを取った。

 この37歳のベテランMFは大外で仕掛けるプレーよりも、気が利くプレーを得意としている。そのためサポート役としては最適なのだが、これまで三笘やエストゥピニャンが実行していた大外でのドリブルや仕掛けはプレーの選択肢にない。

 そのため大外のミルナーにボールが入ったところで、サイドから相手にバックラインに対して圧をかけることはできなかった。一方で三笘へのパスコースは相手の中盤が消しており、前半5分の場面のようなCBがボールを持ったタイミングでの裏抜け以外で、彼に良い状況でボールが入ることはなかった。

 後半にこの方法を止めて、いつも通り三笘に大外を張らせると、ブライトンは相手の右SBアシュリー・ヤングに対して1対1の局面でプレッシャーを掛けられるようになった。ラッキーな形ではあったが、日本代表FWは84分に左サイドからの仕掛けから同点となるオウンゴールを演出している。

 デ・ゼルビ監督の修正はさすがだったが、ヤングに対して三笘が質で優位に立てることは試合前から予想できただろう。実際にこの元イングランド代表DFは先月行われたマージーサイド・ダービーでリバプールの左WGのルイス・ディアスに後手を踏んで退場を余儀なくされている。

 この試合を分析することができていれば、コロンビア代表FWのようにドリブル突破を得意とする三笘をヤングにマッチアップさせることが有効だったことは試合前からわかっていたはずだ。

 指揮官が初手のアプローチを誤ったことで、ブライトンはあわや勝ち点3を取りこぼすところだった。

 得点シーンもブライトンからすればラッキー的な要素が強く、試合を通してセットプレー以外でエバートンゴールを脅かした場面は皆無に近かった。この内容で勝ち点1を拾えたことはプラスに捉えるべきだろうが、三笘の使い方を誤ったデ・ゼルビ監督の采配ミスの罪は重い。これでブライトンはプレミアリーグで5試合勝ちなしとなった。

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