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ジョーカー三笘薫はなぜ機能しない? ブライトンが最下位に勝てなかった理由【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

三笘がジョーカーになれなかった理由



 三笘は10月5日に行われたELマルセイユ戦を最後に公式戦6試合連続で得点に絡めておらず、過密日程の余波を受けてコンディションを落としている。これも今節輝けなかった要因の一つだが、それよりも大きなウェイトを占めているのが周りの選手たちの相次ぐ怪我だ。

 特に痛恨なのが、左SBの不動のレギュラーであるペルビス・エストゥピニャンの不在だ。3日前のアヤックス戦で復帰を果たした同選手だったが、再び怪我を負って離脱してしまった。

 ジョーカーとして機能したボーンマス戦は、エストゥピニャンが大外を張り、三笘はハーフスペースまで絞ってプレーをしたことで、ゴールに近い位置でプレーすることができていた。しかし、このエクアドル代表DFが離脱をしてからは三笘以外に大外で仕掛けられる選手がいなくなってしまい、エヴァートン戦ではジェームズ・ミルナーを外に張らせたが、これが全く機能しなかった。

 今節シェフィールド・ユナイテッド戦はエストゥピニャンやルイス・ダンク、ソリー・マーチ、タリク・ランプティ、ジェームズ・ミルナーら最終ラインでプレーする多くの選手が不在で、保持時は[3-2-5]の可変システムで戦っていた。

 三笘は実質的な左WBとなり、大外のポジションを取り続けたが、3バックの戦術が機能した第10節フラム戦とは人の配置が違った。フラム戦ではアダム・ララーナとパスカル・グロスというライン間でパスを受けるのが上手い2選手がツーシャドーのポジションでプレーしていたが、今節に関して前者は三笘と入れ替わる形で前半のみの出場、後者は右SBとして出場し、保持時は偽SBとしてボランチの立ち位置を取ることが多かった。

 前線のライン間で能力を発揮できる彼らがいれば話は変わってくるのだが、前半のうちにララーナがベンチに下がったことで、シェフィールド・ユナイテッド戦の後半は中央からのチャンスメイクをほとんどすることができなかった。そのため相手からすれば、サイド攻撃以外に怖いものはなく、三笘に対してダブルチームで対応するなど、WGへのマークを徹底することで、ブライトンの攻撃をシャットアウトした。

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