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「三笘薫を見るために来たんだ」ブライトンの街で日本人選手の偉大さを感じた夜[#1]

シリーズ:内藤秀明の欧州紀行 text by 内藤秀明 photo by Getty Images

肌で感じた三笘薫の存在の大きさ

ブライトンMFフリオ・エンシソとFW三笘薫のユニフォーム

【写真:内藤秀明】



 イギリス人は文脈を読むのが上手で、口達者な人が多い印象がある。それでなくとも三枚舌外交の国だ。一つ一つの言葉をどこまで信じたものか、と言う気持ちもある。

 とはいえだ、過去にニューカッスルファンに武藤嘉紀について(しかもマンチェスター・ユナイテッド戦で見事なシュートを決めた直後)、サウサンプトンファンに吉田麻也について尋ねたこともあったが、ここまでの美辞麗句は出てこなかった。三笘がいよいよ別次元の選手になってきている事実を肌で感じる。

 その後、チュロスを秒で食べ終え、韓国アイドルの体型からまた一歩遠のいたところで、ショッピングモールの中に入って行った。余談だが、このモールについて何の気なしに調べたら1930年代から開発が計画され、1965年にオープンした商業施設らしい。この国は本当にあらゆるものに歴史がありすぎる。さてそんな50年前にはモダンだった施設を歩き回り、1901年創設のフットボールクラブのオフィシャルショップに立ち寄った。

 まず第一に驚いたのが入り口の一番目に入る場所に置いてある電光掲示板には、アウェイユニフォームに身を包み笑顔の三笘の写真が表示されていることだ。そしてレジに行くと当たり前のように、10番エンシソとともに、22番ミトマのユニフォームが飾られている。

 日本人選手がここまでクラブの顔のように扱われたことが未だかつてあっただろうか、しかも歴史を重んじるこの国において、フットボールの文脈ではまだまだ歴史の浅い日本の選手が。

現在『Transfermarkt』試算の金額では既に80億円の価値がついている三笘薫だが、今後もさらなる活躍をみせてこの国のフットボール史に大きく名を刻んで行くのだろう。その一部を明日は生で見られる。90分間という長い歴史からすると一瞬の時間かもしれないが、少しでもその偉大さを感じ取りたいと思う。

(文:内藤秀明【ブライトン/イングランド】)

【次回に続く】

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【了】

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