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日本代表 6か月前

藤田譲瑠チマは何を訴えたのか。サッカーU-22日本代表に流れを呼び込んだ主将の言葉【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by NN

南米の強豪との対戦を通じて得たもの

 アルゼンチンを率いるのは、現役時代に20歳で出場した2004年のアテネ五輪、オーバーエイジで出場した2008年の北京五輪を連覇した同国のレジェンド、ハビエル・マスチェラーノ監督。来年1月に待つパリ五輪出場をかけた南米予選を見すえ、現状におけるほぼベストのメンバーとともに来日した。

 本気で臨んできた南米の強豪の前に、個人技で後塵を拝する場面が少なくなかった。前述したように後半開始以降は攻守両面でリズムが大きく崩れ、自分たちのサッカーを見失った時間帯もあった。それでも藤田や鈴木を中心に流れを引き戻し、怒涛の4連続ゴールで逆転勝ちした価値は大きい。

 何よりも国内初陣で、U-22日本代表の現在地と可能性をファン・サポーターへアピールできた。そのなかで勝利を届けたいと強く望んだ藤田は、90分間を通じて精力的に動き回った。安心感だけでなく解放感も手伝ったからか、実際に白星を手にした瞬間にはピッチ上に思わずひざまずいてしまった。

 地上波のテレビで生中継されていたアルゼンチン戦を、藤田はあらためてこう位置づける。

「すごくよかったと思っています。自分たちのプレーを見たことない方々も多くいたと思うし、そういった方々に自分たちもこれだけできる、というのを見せられた試合だったと思うので」

 大岩監督が「A代表経由パリ五輪行き」を掲げるなかで、アルゼンチン戦にはすでにA代表戦の出場歴がある藤田やバングーナガンデ、招集歴のある鈴木や半田、DF西尾隆矢が先発に名を連ねた。

 同じ時期にW杯北中米大会の出場をかけたアジア2次予選に臨んでいる森保ジャパンには、パリ五輪世代からGK鈴木彩艶とFW細谷真大が抜擢されている。今回は怪我で選外だったドリブラーのMF斉藤光毅も控え、さらにパリ五輪世代のMF久保建英も本大会出場を熱望したことがある。

 チームはパリ五輪出場をまだ決めていない。アジア最終予選を兼ねたAFC・U-23アジアカップは、来年4月から5月にかけてカタールで開催される。それでもアルゼンチンを粉砕した逆転勝利の余韻と、代表メンバーをめぐる状況がさらに期待を膨らませる。そのなかで藤田はこんな言葉を残した。

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