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日本代表 4か月前

「想像以上に…」苦しんだ初出場組。サッカー日本代表が浴びた「アジアの洗礼」とは何か【アジアカップ2023現地取材コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

南野拓実、経験者は語る



「これは『うまく崩して』とかじゃなく、個の質とかラッキーな部分で前半のうちに2-2にしとかなアカンなと思った」と危機感を強めた背番号8は、最前線の細谷をフォローしつつ凄まじいハードワークでプレスに行き、ボールを奪うとチャンスメーク、局面打開、フィニッシュと縦横無尽に動き回った。まさに異彩を放った彼が前半終了間際に遠藤の縦パスを受け、首尾よくゴールを挙げた瞬間、森保監督も他のメンバーもこれ以上ない安堵感を覚えたに違いない。

 さらに南野はこの4分後、中村敬斗の逆転ゴールもお膳立てしてみせる。遠藤からパスを受け、中央突破からの鋭いラストパスを供給。3-2の逆転劇を見事に演出した。

「今回の合宿に入ってから、シュートに関してはすごくいい感触が自分の中にあった。初戦でチームに貢献することができてよかった」と本人もホッとした様子だった。凄まじい重圧で押しつぶされそうになった前回大会の経験がある分、彼は努めて冷静になろうとしたのだろう。それが奏功し、明らかに別格のパフォーマンスが大いに光った。

「今日のような難しい試合になると、技術があってハードワークができないと勝っていくのは難しい。彼はアジア、世界で勝つために必要なプレーを見せてくれた」と森保監督は改めて南野を絶賛していた。アジアカップで勝つには、そのレベルのプレーをコンスタントに出せないと難しいのだ。その厳しい現実を多くの日本代表の選手たちが再認識したと言っていいだろう。

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