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「三笘薫ガンバレ」状態。なぜサッカー日本代表は個を活かせないのか? スペイン人指導者が指摘「反省もなく繰り返すと…」

シリーズ:スペイン人指導者の視点 text by 川原宏樹 photo by Getty Images

「三笘薫がんばれ」状態。なぜ能力の高い選手が活きないのか


【写真:田中伸弥】



「前回も指摘しましたが、右サイドバックが不足しています。右側で幅を取る役割の選手が必要です。個人的には橋岡大樹が気になっています。そのように幅を取る選手がいることを前提にして、どのようにボールを動かすかというビルドアップの部分をチームとして明確化しなければなりません。また、今大会を踏まえるとオフェンスラインを越えるように後方から追い越していく選手の必要性を感じました。このような層の厚い攻撃を展開できる選手として、田中碧のような選手が考えられます」

 加えて、各選手が持つ特長を生かすためのデザインが必要と説く。それは選手個々に頼るのではなく、チームとして個の特長を引き出せるようにするためのガイドラインが必要と主張する。

「たとえば三笘がボールを持ったとき、チームは『三笘がんばれ』という三笘頼みの雰囲気になります。しかし、イラン戦では2~3人が彼に寄せていき、7人もの相手がスライドして彼のいるスペースを削りにきていました。このように対策を練ってくる相手に対してチームが『三笘がんばれ』状態になってしまうと、彼が持つ力を発揮するスペースはありません」

「せめてチームとして質的優位な状況をつくり出すことが大切で、少なくとも彼が1対1、最悪でも1対2の状況でボールを受けられるようにすべきなのです。能力のある質の高い選手が可能なかぎり広いスペースでボールを受けられるようにチームとしてデザインすることが必要で、選手の特長を生かすためのプレーを含めたガイドラインの策定が今の日本代表には求められています」

 今後、森保監督が策定すべきプレーモデル、ガイドラインについて提案したアレックスは、最後に今後の日本代表で注目すべきポイントについて語った。

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