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「三笘薫ガンバレ」状態。なぜサッカー日本代表は個を活かせないのか? スペイン人指導者が指摘「反省もなく繰り返すと…」

シリーズ:スペイン人指導者の視点 text by 川原宏樹 photo by Getty Images

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 サッカー日本代表は3日、AFCアジアカップカタール2023準々決勝でイラン代表に敗れ、ベスト8という結果に終わった。三笘薫、冨安健洋、久保建英など、アジア最高クラスの質を持つ選手が揃いながらも、なぜ日本代表はアジアで苦しんだのか。スペイン出身のアレックス・ラレアが日本代表の戦いを分析する。(取材・文:川原宏樹)


【プロフィール】アレックス・ラレア

プロ選手としてカナダでプレーした後、指導者の道に進み、欧州最高位の指導者ライセンスUEFA PROを取得する。2020年からは元スペイン代表、元ヴィッセル神戸のダビド・ビジャが主宰するサッカースクール『DV7サッカーアカデミー』日本支部のディレクター・コーチを務める。

ダビド・ビジャとアレックス・ラレア
【写真:川原宏樹】

サッカー日本代表に「守備は堅い」というイメージはない

 優勝を目指したAFCアジアカップだったが、サッカー日本代表はイラン代表に敗れて4強入りすらできなかった。大会前の親善試合では9連勝中で優勝候補筆頭に挙げられた日本代表だったが、それまでの好調ぶりは影を潜めたまま大会を去ることになった。

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 その原因を探るため、UEFA PROライセンスを持つスペイン人指導者アレックス・ラレアが今大会における日本代表を総括。「ある程度のガイドラインを策定する必要がある」と提言する。

 前回は主にイラン代表戦を振り返ってその敗因を解説したアレックスは、日本代表の大会を総括する前にサッカーの真理について語ったあと、日本代表に起きていた現象を推察した。

「サッカーでは能力的に劣っているチームでも90分間のなかでチャンスが訪れることはあり、そのチャンスで得点できる可能性を秘めています。そのような真理があるなか、グループステージでの日本代表はそういった対戦相手が秘める可能性でことごとくゴールを許してしまいました。それは決勝トーナメントに入ってからも同様で、バーレーン戦でも失点してしまいました」

 対戦相手の数少ない決定機でゴールを許した日本代表。そのような戦いぶりを見た対戦相手にとって、日本代表にはポジティブな印象が生まれたという。

「そういった状態に直面した相手は、おそらく日本代表の守備は堅いというイメージはなくなっていったのではないでしょうか。だからこそ、攻撃時にはイニシアチブを握ったような感覚になり、大胆なプレーもできたのだと思います」

 各試合で少ない決定機をものにされ続けた日本代表は、その影響でネガティブなプレーが増えた。それは対戦相手とは対照的となり、さらにネガティブな方向へ陥ってしまったのではないと考察している。

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