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日本代表 2か月前

藤田譲瑠チマは「ウザいほど…」。サッカーU-23日本代表を救う「10年以上の絆」「それが僕らのストロング」【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

藤田譲瑠チマらしいリーダーシップの取り方


「自分たちで何とかするんだ」といったムードが後半開始3分の先制点を呼びこんだのかもしれない。荒木が強引なシュートから得た右CKを蹴り、187センチの長身右SB関根大輝が打点の高いヘディングで合わせたシュートはクロスバーを直撃。この跳ね返りに詰めたのが、左ウイングに入っていた欧州組の佐藤恵允だ。「顔に当たっただけですけど、ゴールはゴール」と本人は苦笑したが、こういう泥臭い1点がゲームの流れをガラリと変える。それは視察していた日本サッカー協会の宮本恒靖新会長も語気を強めていた点。そういう意味でも彼は大きな仕事をしたのである。

 その後、荒木が下がって田中聡が出場。松木が荒木のような前目のIHになり、田中と藤田はより2ボランチ気味にプレーした。彼ら2人が組むと中盤の守備力がアップし、強度も上がる。田中はチームに新たなエネルギーを注入。そのうえで、76分にペナルティエリア左側から豪快な左足シュートを決め、勝負を決定づけたのだ。
 

「もうテンション上がっちゃってたので(笑)。彼が決めてくれたのは自分としても嬉しくて、チームとしてもムードメーカーというか。そんな多く喋るタイプではないですけど、みんなと仲が良い素晴らしい選手なので、ホント、嬉しかったです」と藤田は田中に駆け寄りキス。これには田中自身も戸惑っていたが、そんな行動もチームを少なからず盛り上げる。藤田は彼なりにリーダーシップを90分間披露し、ノルマと位置づけていた白星を引き寄せた。彼は主軸らしい存在感を大いに示したと言っていいだろう。

 やはり大岩ジャパンの中盤は、やはり藤田と山本理仁のシントトロイデンコンビ抜きには語れない。それはこの2試合を通して改めてハッキリした点だ。外から見ていた山本も「自分たちが大黒柱だ」という自覚を深めた様子だった。

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