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日本代表 4週間前

A代表の失敗を繰り返さない。サッカーU-23日本代表がロングボールにやられなかったわけ【西部の目/U-23アジアカップ】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by 2024 Asian Football Confederation(AFC)

日本が苦手なロングボールへの対処

U-23日本代表の木村誠二
【写真:2024 Asian Football Confederation(AFC)】



 結果は完勝に近いが、前半はUAEもトップのスルタン・アディル・アルアメリへのロングボールからチャンスを作り出していた。途中からこれを封じたのも勝因の1つだ。

 アディルはロングボールの落下点に着実に入り、DFとの競り合いにも強さを見せていた。主に木村とのマッチアップでは優位性を示している。強力なターゲットマンへのロングボールは、アジアカップで日本代表に対してイラク代表、イラン代表が行っていて、いずれも日本は敗れていた。日本対策として定番になりそうな攻め方だ。

 しかし、U-23日本代表はその轍を踏まなかった。アディルと競り合う選手のカバーを他の選手が着実に行っていた。そして、むやみにラインを下げることもなかった。セカンドボールが発生する地点がゴール近くではなく、相手にこぼれ球を拾われたときにもある程度対応できる状態になっていた。

 ただ、それ以上に大きかったのはロングボールの出どころにプレッシャーをかけられたことだろう。

 U-23UAE代表はゴールキックをGKから左右に大きく開いたCBへつないでいた。しかし、そこからパスをつなぐのではなく、主に右のCBからアディルないし右FWのヤセル・ハッサン・アルブルーシの頭上へロングボールを蹴る。この手順がわかってからは、FWが速く相手CBに寄せていくようになった。そのため後半からロングボールをあまり蹴らなくなり、最も脅威だった攻め手がなくなった。U-23UAE代表のCBは左右に大きく分かれているので、ボールを奪われたら致命的な状況に陥る。そのリスクを負えなくなったわけだが、U-23日本代表が相手のやり方に対処したタイミングは早かった。

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