「ベルギーで決めた」鈴木武蔵の信念
「もう耐えるしかないなっていう。悪い時期は誰にでもある中で、本当に耐えるしかないというか……自分に言い聞かせてました。自信は絶対に失わないというのはベルギーに行った時に決めたことなので。自信は絶対失わずに、耐え切るというのは意識していました」
2018年に当時J1だったV・ファーレン長崎でシーズン11得点、翌年は札幌で13得点を記録して、同年に日本代表にも選ばれた。そして2020年の夏にベルギーのベールスホットへ移籍。最初は順調に得点を重ねたが、背番号10を背負った2シーズン目は不振となり、チームの2部降格を経験した。カタールW杯を半年後に控えた2022年の夏、一念発起してガンバ大阪に移籍するも半年間で1得点にとどまり、2023年も1得点に終わった。
そうした状況で、実に3年半ぶりとなる札幌復帰には開幕前から、“エースの帰還”を歓迎する声と同時に、懐疑的な声が入り混じっていた。そしてチームの得点数が伸びず、勝利から遠ざかる中で、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督から1トップを任された鈴木も無得点が続き、批判的な声が強まっていた。ただ、プレーの内容を見れば、昨シーズンのガンバで出場時間が少なくなっていた鈴木の状態が徐々に上がっているように見えた。
しかし、前節の神戸戦で1ー1から菅大輝が獲得したPKのキッカーを任された鈴木は、日本代表GK前川黛也に止められてしまい、SNSでも札幌サポーターを含めて、厳しい声が多く見られた。そうした困難を乗り越えて、ついにゴールを決めた鈴木について、ベルギー移籍前から彼を知る駒井は「本人が一番辛い思いをしていたと思います」と語る。