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コラム 2か月前

「夏に移籍する可能性が…」菅原由勢はナポリに行くべきなのか。アジア人選手が狙われる理由とそこに潜む高リスク【コラム】

シリーズ:コラム text by 佐藤徳和 photo by Getty Images

日本人の指導経験がないコンテ。その特徴は…

アントニオ・コンテ
【写真:Getty Images】

「新しい都市」の意味を持つナポリの街は、歴史的に様々な民族の支配を受けてきた。異文化を受け入れながら、独自の文化を築き上げてきた。それゆえ、イタリア北部で見られるような、人種差別的な傾向は比較的少ない。

 さらに、キムの活躍もあって、東洋人に対しても、親しみを抱いている。かつては治安面などから混沌とした街の印象が強く、日本人が暮らすには難しいとも言われていたが、近年は都市の近代化が進み、住みやすい環境が整ってきた。もし菅原が移籍しても、日常生活に苦しむことはそれほどないだろう。

 ナポリを指揮するのは、アントニオ・コンテ。バーリ出身の55歳は、19年に及ぶ指導歴において、セリエAで5回、プレミアリーグで1回の優勝経験を持つ。一昨季のリーグ優勝から、昨季は10位にまで転がり落ちたチームを見事に立て直し、今季は2位につけて優勝争いを演じている。

 勝利を追い求める執念において、この男の右に出る者はいない、炎のような情熱を宿した熱血漢だ。ただ、采配を巡っては柔軟性を欠く。

 インテル時代には2000万ユーロ(約32億円)で加入したデンマーク代表MFクリスティアン・エリクセンの起用を躊躇した。今夏は、ナポリをセリエA優勝に導いた立役者、ナイジェリア代表FWヴィクター・オシムヘンの起用よりも、インテルとチェルシー時代の教え子、ロメル・ルカクの獲得にこだわった。

 選手の個性を重視するよりも、選手を自らの戦術に押し込むタイプの指揮官だ。

 これまで日本人を指導した経験はない。仮に菅原がナポリに加入すれば、初めて日本人を指導することになるが、問題は、今のナポリでは、菅原が定位置を確保することが難しいことだ。

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