菅原由勢がナポリでレギュラーになるには…
そのケースとは、コンテの退団だ。コンテはナポリと2027年6月30日までの契約を結んでいる。だが、負のスパイラルに陥ってしまったユヴェントスのティフォージの多くが、コンテの復帰を熱望しているのだ。
イタリアメディア『トゥットスポルト』が、チアゴ・モッタが解任される前に行ったアンケートでは、有効回答9,991のうち、25.6%で2位のジャン・ピエロ・ガスペリーニを大きく離し、コンテが54.4%の票を得てトップに立った。コンテへの人気は未だに根強い。
11/12シーズンにユーヴェを指揮したコンテは、チームを再びイタリアの頂点まで引き上げ、3連覇を達成。カルチョ・スキャンダルにより、迷走していたチームを完全に蘇らせ、常勝軍団に復活させた。
勝利への執念は、並外れている。愛するユーヴェであっても、望んだ補強が叶わなかったことで、退団を決意した。この男の辞書に“妥協”という言葉はない。その判断には、プロとしての矜持がにじむ。
ナポリとは、2027年6月30日までの契約を結んでいるが、その契約が遵守されるか、雲行きは怪しい。フヴィチャ・クヴァラツヘリアが1月にパリ・サンジェルマン(PSG)へ移籍。その後釜となるようなエース格の選手の補強が行われなかったことで、幹部に対して強い不満を示した。
ユーヴェへの復帰は、コンテも以前から望んでいるものと見られている。オファーが届き、満足の行くプロジェクトが提示されれば、ナポリを去ることも厭わないはずだ。
そうなると、ディ・ロレンツォの去就にも影響が出るだろう。昨季終了後には、「サイクルの終焉」と語り、ナポリを離れる決意を示していた。だが、コンテに残留を説得され、ナポリに残る運びとなった。コンテが退団となれば、ディ・ロレンツォもクラブを出ていく可能性は高くなる。
もしそんな青写真が現実となったとき、右サイドバックのポジションに穴があき、菅原が活かされるスペースが生まれる。菅原の獲得は、コンテの去就に影響されることになるだろう。
コンテが退任した場合、次期監督が求める選手像に菅原が適合するかという点も問題となる。そして何よりも菅原の意向だ。とはいえ、デ・ラウレンティス会長が、日本人の獲得を希求しているのは紛れもない事実だ。
マーケティングも重視し、日本市場への開拓も狙っていることから、何かしらアクションを起こしてくることは間違いない。果たして、菅原は来シーズン、ディエゴ・マラドーナがかつて躍動したナポリで、クラブ史上初の日本人ジョカトーレとなるのだろうか。
(文:佐藤徳和)
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