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Jリーグ 7か月前

ヴィッセル神戸に生じた小さな歪み。本多勇喜が絞り出した言葉を無駄にしてはいけない。「僕自身もそうですけど…」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

FC東京にとっては狙い通りだった一発カウンター

「まあ…もうしょうがないですね。はい、切り替えます」

 後半だけで神戸が獲得した、7本目のコーナーキック(CK)から悪夢がはじまった。右からレフティーのグスタボ・クリスマンがインスイングのクロスを供給。これは中央のマテウス・トゥーレルの頭に合わなかったが、体勢を立て直したトゥーレルが必死にこぼれ球を拾って再びクリスマンに預けた。

 今度はファーを狙ったクリスマンのクロスに大迫勇也、さらにその外側にキャプテンの山川哲史が詰める。しかし、ボールは山川が必死に伸ばした右足をかすめてゴールキックになった。

 直後に訪れた一瞬の隙をFC東京は狙っていた。クリスマンをマークしていた安斎、自陣のゴール前にいた仲川がすぐにスプリントを開始する。間髪入れずにロングボールを、こん身の力を込めて蹴って試合を再開させたFC東京のゴールキーパー、波多野豪が狙い通りだったと自画自賛した。

「テルくん(仲川)が途中から入ったときには『相手のゴールキーパーに向かって思い切り蹴るので、走っていてください』と試合前に伝えていました。その通りになりましたね」

 グングンと伸びたボールは、自陣に残っていた酒井高徳の頭上を越えてワンバウンド。トップスピードで神戸のペナルティーエリア内へ走り込んでいた仲川がこれを収めた。安斎が仲川をフォローしていたのに対して、神戸のフィールドプレーヤーは酒井と戻ってきたクリスマン、そして本多しかいない。
 

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