「誰のせいとかではなく…」。チーム全体に見えた隙

　すかさず守護神の前川黛也が前に出て仲川との距離を潰す。この間に本多は全速力で無人と化したゴールのカバーに入った。必死に粘った仲川が左足でシュートを放つも、ボールは力なく神戸ゴール前へ転がった。そこへ真っ先に安斎が詰めてくる。本多は左ポスト付近へ身を投げ出してシュートコースを消した。

　安斎が右足のアウトサイドにボールにヒットさせる。ボールはスライディングした本多が自身の体を支えようとした、右腕と脇の間に当たってゴールラインを割り、約3分後に判定がPKに変わった。

「本当にアンラッキーだったというか、不用意なハンドとかではまったくなくて、あれは本当にしょうがなかった。誰のせいとかではなく、全体的にああいうシチュエーションにならないようにしていかないといけない。前がかりになっていたところのリスク管理で、相手が狙っているプレーに対して、自分たちがしっかり戻れているのか、という点ではちょっと遅れているところもあったと思っているので」

　VARとOFRをへて宣告されたPKを、チーム全体の責任だと位置づけた前川はさらに続けた。