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Jリーグ 7か月前

ヴィッセル神戸に生じた小さな歪み。本多勇喜が絞り出した言葉を無駄にしてはいけない。「僕自身もそうですけど…」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

「あの失点をきっかけに」。ヴィッセル神戸はどう変わるのか?

「今日は全員がMVPだと思いますが、あえて一人を選ぶならば本多だと思っています」

 左CBで先発したFC東京戦では、相手が狙うカウンターに対して地上戦で対抗。ヒアンに抜け出された41分のピンチでは粘り強く追走し、広瀬陸斗との連係で十分な体勢でシュートを打たせなかった。

「相手のカウンターはしっかり分析していたので、しっかりと危機感をもってやれたのはよかった。ただ、それでも数本やられているので、そこはしっかりと映像で振り返って、もっと前向きに自分たちがボールをもって攻撃できるように、これからは後ろをもっと堅くやっていかなければいけないと思う」

 こう振り返った本多は、怪我で離脱していたトゥーレルが途中出場した70分からは左サイドバックに回っている。チームの戦い方の幅を広げる存在でもある本多は、こんな言葉も残している。

「トゥーレルが復帰してきたので、自分のなかではあるかな、というイメージをもっていました」

 試合はアディショナルタイム15分に、左サイドから本多が投じたロングスローのこぼれ球を、FC東京のボランチ橋本拳人が大きくクリアした直後に終わった。再び自らを責めるように「もうちょっと遠くに投げられるように頑張ります」と語った本多へ、山川は特別な言葉をかけなかったと明かした。

「こうやったなと試合の振り返りみたいなものを話した感じで、特にいつもと変わりません。(最後は)不運というか、それぞれの選手がこうすればよかった、というシーンではあったと思うし、あの失点をきっかけにそれぞれが自分にできること、というのをもっと考えて修正していかないといけないので」

 10本のシュートを放つもゴールネットを揺らせなかった。前川の好守連発で無失点に抑えていたものの、前半から何度もカウンターを招いた。小さな歪みが積み重なり、最後に痛恨のPKを招いた。それでも取材エリアで立ち止まり、逃げずにしっかりと言葉を紡いだ本多の背中が、逆襲を期す神戸の羅針盤となる。

(取材・文:藤江直人)

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【了】
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