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Jリーグ 7か月前

「忘れては…」川崎フロンターレ、佐々木旭は“あの日”から変わっていく。「そこまでの選手とチーム」にならないため【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

佐々木旭が制した駆け引き。相手の心情は…

「相手が左利きなのも、左足のキックの精度がすごく高いのも、本当にいいボールをあげてくる選手というのもわかっていた。なので、まずは左足で(クロスを)あげさせない、という点を意識しました」 

 自身の左足を警戒し、コースを消すようにブロックに飛び込んできた佐々木の姿を見た新保は切り返すプレーを選択。FWルキアンがフリーで走り込んできたファーポスト付近へ、右足でクロスを放った。 

 川崎のホーム、Uvanceとどろきスタジアムに悲鳴と歓声とが交錯するなかで、ボールはジャンプしたルキアンの頭上をかすめ、ゴールラインを割った直後に試合終了を告げる笛が鳴り響いた。佐々木が言う。

「結果的に逆足だったから、(クロスが)ファーに流れたのかなと。あの時間帯で相手がまず利き足でクロスをあげてくると考えながら、冷静に対応できたのは成長したところなのかなと思う」

 試合後の新保の言葉を聞けば、駆け引きで佐々木に軍配があがった跡が伝わってくる。

「左足で(クロスを)あげたら(佐々木に)当たると思ったので、右であげました」

 利き足ではない右足だった分だけ、ルキアンの頭にほんのわずか合わなかったのか。この問いに対して返ってきた新保の短い言葉には、引き分けにもち込めなかった悔しさが凝縮されていた。

「それはわからないです」

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