強烈な悔しさが襲った。結果として何も貢献できなかった
「俺が何とかする」
チームが連敗を続けていても、先制を許していても、自身がスタメンから遠ざかったとしても、山根はポジティブなメンタリティーでピッチに入った。
状況はシンプルだ。点を取るしかない。
チャンスメークする力、攻撃的な能力はマリノスのボランチの中でも最も長けている。山根はとにかく前を向いた。相手ゴールに背を向けた状態でボールを受けても、バックパスすると思わせてターンして前進し、ボールを前に送った。これでもかというほどに自分の持ち味を発揮し、局面を打開し続けた。そのプレーは確実にチームをゴールに近づけた。
肝心のゴールは決まらなかった。結果として山根はゴールにも勝ち点獲得にも貢献できなかった。試合終了のホイッスルを聞くと、強烈な悔しさに襲われた。その悔しさが表情に表れたのだろう。
だが、山根は堪えた。
「落ち込んでいても仕方ないし、下を向いている場合じゃない」
5連敗という状況でそう思えるのは、偉大な先輩の背中を見続けてきたからだ。