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Jリーグ 7か月前

「その1本、俺がいきたいんです」山根陸にはやるべきことが見えている。横浜F・マリノスに自信をもたらすのは、俺だ【コラム】

シリーズ:コラム text by 菊地正典 photo by Getty Images

強く思う。「その1本、俺がいきたいんです」

 自信を持って選択すべきプレー。その一つが柏戦でも頻繁に見せたターンであり、前進である。ただ、すべきだったにもかかわらずできなかったプレーもあった。

「何とかシュートを打ちたかったんですけど」

 舌打ち混じりで言葉を発しながら、山根は唇を噛んだ。

 シュートを打つこと、さらには自らがゴールを決めることは、一つひとつのディテール同様に山根が意識していること。シーズン途中のため単純比較はできないが、実際に1試合平均シュート数はルーキーイヤーの2022年から0.3、0.2、0.5と続き、今季は0.6と過去最高を記録している。

 この試合でもシュートを打とうと意識していたのだが、疲労が右足を振らせてくれなかった。

「もうどうなってもいいや」

 その思いでプレーした結果がチームに勢いをもたらしたものの、ピッチに入った瞬間からフルパワーを出した代償もあった。

 それでも、何とかシュートを打ちたかった。打てば何かを変えられるかもしれないと思っていたからだ。

「チームとして1本入れば全然違うと思うんです。よくないときって全てがうまくいかないですけど、1本入れば」

 そして、強く思う。

「その1本、俺がいきたいんです」

 次節の京都サンガF.C.戦は、柏戦から中2日。ホームゲームが続くとはいえ、同じメンバーで戦えるはずはない。この試合でのプレーを見れば、山根が3試合ぶりスタメン出場は十分にありえる。

 負の流れを断ち切る。「その1本」を決める。表情は穏やかになったと思っていたが、次を見据える山根の視線は鋭いままだった。

(取材・文:菊地正典)

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【了】
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