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Jリーグ 3週間前

「ショックというか…」扇原貴宏の目に映った横浜F・マリノスの今。「残留争いをした経験があるからわかる」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

「マリノスに刺激を与えられるような存在であり続けたい」

「自分の間合いでいいポイントにボールを蹴れたと思っていますけど、あのゴールに関してはサコくん(大迫)がジャンプするタイミングやヘディングする技術の高さのおかげだと思う」

 開始19分にもペナルティーエリア付近から絶妙のパスを配球。エリキの先制ゴールをアシストした扇原は、さらに今シーズン初めて複数得点をマークした一戦が反撃への狼煙になるとも位置づけた。

「やはりセットプレーで点を取れた、というのがすごく大きかった。何よりも自分たちのエースのサコくんが、点を取ってくれたことでチームは勢いに乗っていける。本当にそこが大事なのかな、と」

 対照的にマリノスのエースで、昨シーズンまで2年連続でリーグ得点王を獲得しているアンデルソン・ロペスは、現時点で2月の開幕戦でマークした1ゴールだけにとどまっている。先発した神戸戦でもシュートを1本も放てないまま、71分に遠野大弥との交代でベンチへと下がっている。

 もちろん扇原は意識していないだろう。それでも、チームのエースが決めるゴールの価値に言及した試合後のコメントは、もがき苦しむ古巣への檄にも聞こえた。扇原はさらにこう続けている。

「古巣マリノスのファン・サポーターのみなさんの前で、少しは成長した姿を見せられたかな、と。僕は僕でまだまだ頑張り続けたいし、マリノスに刺激を与えられるような存在であり続けたい」

 昨シーズンの扇原は不動のアンカーとして、35試合に出場して連覇を支えた。左足に宿る高精度のパスに磨きをかけ、34歳になるシーズンでもいぶし銀の存在感を放つ扇原は、舞台をノエビアスタジアム神戸に移し、次に両チームが対峙する8月30日には、愛着深い古巣が異なる姿を見せてくれると信じている。

(取材・文:藤江直人)

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【了】

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