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Jリーグ 2週間前

横浜F・マリノスが「どういうクラブか」その答えを、喜田拓也は先頭に立って見つけていく。「笑い者にされてもいい」【コラム】

シリーズ:コラム text by 菊地正典 photo by Getty Images

「笑い者にされてもいい」「絶対に這い上がる」

「選手たちは、チームはもうしっかりと次の準備をする。ここで何も終わってはないし、次に勝つための準備をしたい」

 そうだった。喜田が見つめるのはいつだって“いま”のこと。2つ先の試合のことは考えない。目の前の試合も結果が出た瞬間、“過去”になる。

 だから、試合が終わり、ファン・サポーターが喜ぶ姿を見つめ、体をケアし、報道陣の前に姿を見せるころにはもう鹿島戦は過去のことになっていたのだろう。

 試合終了直後の感想について歯切れが悪かったのも頷ける。

 あれだけ奮闘したはずの試合でやり切ったことを「まだ全然」と否定することも、「まだ」。「何も」と発したのも、ここで終わりではないという気持ちがあったからではないか。首位を相手に得た大きな1勝だが、あくまで勝ち点3。たかが1勝でもある。その上であまりにはっきり言ってしまうと、喜んでいる人たちの邪魔をしてしまうと考えてもおかしくはない。

 本当に覚えていないのかもしれない。こちらの思い過ごしかもしれない。

 だが、普段の言動からそこまで考えていると思わせるのが、横浜F・マリノスのキャプテンである。

「絶対的に勝利の数が足りないし、それを忘れている選手、今日で満足している選手は一切いない。周りに何を言われてもいいし、笑い者にされてもいい。絶対に這い上がって、マリノスがどういうクラブなのかをしっかりと示したい」

(取材・文:菊地正典)

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【了】
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