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Jリーグ 3週間前

「最初は物怖じした」田部井涼に意識の変化が生まれた。ファジアーノ岡山で「いまは毎試合のようにワクワク感がある」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

月間ベストゴールも生み出した左足「通用する部分が徐々に増えてきました」

「ウチもそうですけど、湘南さんもボールに対して前へ強く来るチームなので、そこでひとつ剥がせば大きなチャンスになる。ボールをロストするリスクもあるなかで常に狙いながら、特にあの場面では自分的にも余裕がありましたし、味方も見えていたし、何よりもイメージができていたのがよかったですね」

 田部井の左足は4月度のJ1リーグ月間ベストゴールも生み出した。ホームのJFE晴れの国スタジアムにFC東京を迎えた4月6日の第9節。相手の中途半端なクリアに反応すると、胸トラップからボールを落とさずにボレーを選択。ペナルティーエリア左外から、豪快なドライブシュートを突き刺した。

「もちろん狙ってシュートしましたけど、想像以上に豪快なゴールとなって自分でも少し驚きました」

 両チームともに無得点の均衡を破り、岡山を1-0の勝利に導いた61分の記念すべきJ1初ゴール。岡山を通してこんなコメントを発表した田部井は、コーナーキックやフリーキックのセットプレーのすべてを、岡山を率いる木山隆之監督から託されている左足に、いまではこんな思いを抱いている。

「絶対的ではないかもしれないけど、試合をこなしていくなかで、通用する部分が徐々に増えてきました。セットプレーのキッカーは練習から任されているし、最近は自分の思い通りに蹴れる場面のほうが多くなっている。これを絶対的な自信に変えていくためにも、これからも日々磨いていけたらと思っています」

 クラブ創立から20年目を迎えた岡山だけでなく、プロ4年目を迎えた田部井自身にとっても、J1の舞台へ初めて挑んでいる今シーズン。湘南戦をもって長丁場の戦いを折り返す19試合を終えた。

「攻撃や守備、あるいは相手との駆け引きの部分で、開幕した直後は圧を感じていたというか。本当は圧なんてないんですけど、名前が知れている選手だから、僕が小さなころから見ているチームだから、といった理由でボールを下げるとか、ボールを受けないシーンが自分のなかであったと思っていて」

 意外な事実を打ち明けた田部井は、必死に前を向き、積み重ねてきた時間が問題を解決したと続けた。

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