「ここにいる価値もない」渡井理己にあった葛藤
【写真:Getty Images】
「ボールを回しながら崩せている場面は多いのですが、フィニッシュのクオリティが足りなかった。最後の部分をより集中して取り組もうと練習からやっていて、誰がどういう入りをするのか、どの選手がどういう立ち位置で点を取るのか、クロスに対しても上手く入れていますし、2点目も中川選手の個人技から得点に対する意欲が出たシーンだったと思います」
その後、89分には渡井がポスト直撃のシュートを放ったが、スコアはそれ以上動かず、試合はタイムアップを迎える。2戦合計5-1とし、柏がベスト8入りを果たした。
この日、両チーム最多となる4本のシュートを放った渡井だが「あの2つが入っていればハットトリックだったので、そんな欲もありました(笑)。ああいったシーンをどんどん増やしたいです」と柔和な笑顔で答えた。
シーズン序盤はコンディションの部分と、2021シーズン以来となるJ1でのプレーに「手間取った」と言う。
「チームが上手くいっている一方で葛藤はありました。そこを乗り越えなければチームの力にもなれないし、ここにいる価値もない。自分ができることを、もう一度練習から積み重ねていくことができたので、徐々に自分の良さを出せていると思いますし、得点にも絡めています。まだまだ良くなっていくと思うので、後半戦に向けて、もっとチームを活性化できるようにしたい」と力強く話した。
また、この日は渡井のチャントのお披露目でもあった中で、見事に結果で応えて見せた。「ありがたいですね。でも、まだまだ頑張らないといけません」。
自分にできることをコツコツと積み重ねていく。遅れてやってきた柏の背番号11がタイトルへのキーマンに名乗りを上げた。
(取材・文:石田達也)
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