「相手に持たせるというところは予想していたんですけれど…」
頭では分かっていてもアルゼンチンの強豪が出してくるクオリティは高く、ボールコントロールはもちろん、サイドチェンジひとつとっても速く正確で、浦和が得意とするミドルブロックの守備がスライドで後手を取るシーンが目立った。やはりJリーグではなかなか感じられない、質を伴ったプレーの速さに面食らってしまったところはあるだろう。
実際、12分に喫した最初の失点は右ワイドでボールを受けたマスタントゥオーノが中に切り込むドリブルを渡邊凌磨が捕まえられず、中に入り込まれたところから素早いサイドチェンジを許して、左サイドバックから高い位置まで上がったマルコス・アクーニャから、ドンピシャの左足クロスをファクンド・コリーディオに合わせられた。
おそらくリーベルがはっきりとイメージしていた攻撃の形だが、戦術的に崩し切られたというよりは浦和がわの判断と対応が少しずつ遅れた結果として、クロスを簡単に上げさせてしまったところから、センターバックのダニーロ・ボザとマリウス・ホイブラーテンの合間で決定的なシュートを許すこととなった。
「やはりミドルゾーンで構えて、相手に持たせるというところは予想していたんですけれど…」と振り返るグスタフソンが、明確に問題が出たと指摘するのは自分たちのボールになった時に、全体が攻め急いでしまったことだ。そのためボールロストのタイミングも早くなり、その結果、すぐに相手の攻撃が再開するという悪循環が、しばらく繰り返された。