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Jリーグ 5か月前

「そこは絶対に忘れたくない」それでもファジアーノ岡山に戻ってきた。本山遥に湧き上がる感情「やっぱりこれだな」【コラム】

シリーズ:コラム text by 難波拓未 photo by Getty Images

木山隆之監督「まあ遥だったらやってくれる」

「遥については、今週もいろいろなことを想定しながらトレーニングをして。実際にあのポジション(左WB)でプレーしていなかったと思うけど、『まあ遥だったらやってくれる』という、ある意味、確信もありました」(木山監督)

 ぶっつけ本番の起用にも、全力で応える。それが岡山の本山遥という選手だ。試合が再開されると、マリノスは本山のサイドをこじ開けようと攻勢を強めてくる。左足で中央へのカットインを何度も狙ってきたヤン・マテウスには、素早いアプローチで正面を塞ぎ、切り返しにも食らいつく。

 ワンツーで深い位置への進入を狙ってきた加藤蓮のプレーは、「完全に読んでいた」。先に身体を当ててバランスを崩させ、突破を阻む。逆サイドから移ってきた井上健太には、一瞬のスピードで入れ替わられそうになったが、最後まで身体をぶつけてチャンスメイクを許さず。完封というミッションを完遂してみせた。

 今節は木山監督が「今の状況を考えた時にやっぱり負ける訳にはいかない」と形容した試合だった。そして、後半はマリノスが死に物狂いで攻めてくる中、途中出場の選手はなんとしても1点のリードを守り切らなければならない。“クロージング”は決して簡単な役割ではない。

 本山は戦況を敏感に察知できる力と責任感の強さを持っている。だからこそ、「すごく緊張した」状態でのプレーだった。それでも、無失点での勝利に貢献できたのは、大卒後に岡山でプロになってから様々なポジションでプレーした経験と、培ってきた準備力があるからだ。

「どこかのポジションだと決めつけずに試合に入るようにしています。あとは試合の流れで、誰と交代するのか、それぞれの選手の状態を見ながら、『この状態だったらここで出るだろう』ということを頭で考えながらウォーミングアップをしています」

 その言葉通り、「正直ヤン・マテウス選手とゴール前でマッチアップすることは多くなかったし、彼もかなり疲れていて、足を攣っていた。自分としてはラッキーな展開だったと思う」と冷静だった。

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