「このタイミングで戻るんだ」わずか半年で復帰。決断を後押しした思い
最後まで粘り強くプレーし、勝利をもぎ取る。チームの真骨頂と言える戦いをピッチ上で体現することができ、湧いてきた感情は「やっぱりこれだな」という懐かしさや安堵に似たものだった。
昨季のJ1昇格プレーオフで2試合連続ゴールを決め、岡山に悲願達成をもたらした直後、「乗るべき列車は一度しか通らない」という決断のもとで神戸に移籍。だが、全くと言っていいほど試合に絡めなかった。「サッカー人生の中で1、2を争うほど」苦しい半年を過ごし、並々ならぬ覚悟で復帰をしたからこそ生まれてきた気持ちだった。
「神戸は『行きたい』と思って行ったクラブだし、岡山が同じカテゴリーのJ1に上がって移籍をした身なので、半年間で戻るというのは、いろいろな人から『このタイミングで戻るんだ』と思われるだろうなとは思いましたけど、木山監督や強化部の方がずっと気にしてくださって、すごく必要としてくれました」
「神戸では正直サッカー選手としてはすごく難しい立場にいた。自分が神戸で一生懸命やって1年、2年頑張ってもしかしたら光が見える、というのを待った方が良いのかもしれないとも思うこともありましたが、サッカー選手でいられる期間やキャリアを考えると…。岡山には大卒から3年間いましたし、共にJ1に上がったクラブなので、(神戸にいた時も)正直、試合は見ていました。その中でこうやって話をもらえたので、全力でやりたいなと思って(復帰を)決断しました」
岡山で身体に染み込ませたマンツーマンディフェンスと神戸でのゾーンディフェンスには、「大きなギャップ」があり、それは“カルチャーショック”と言えるほどのものだった。それでも、J1リーグを2連覇したチームでの経験は、自分の血肉にしなければならない。そのことは本人が誰よりもわかっている。