仙台の攻撃をけん引し続けた武田英寿
右のスローインから右寄りで受けた武田が左前の郷家にグラウンダーのパスを付けると、中央に流れてリターンを引き出し、ワンタッチで前線左の荒木駿太に速いボールを送る。荒木は右センターバックの江﨑巧朗を引き出しながらスルー。左外から追い越す石尾陸登がジョルディ・クルークスに競りかけられながらもキープして、左ワイドに流れてきた武田にバックパスした。
武田は正確なボールコントロールから左足でクロスを送ると、ファーサイドに真瀬が飛び込むが、クリアに来た左サイドバックの松原后を押し倒してしまい、オフェンスファウルとなった。
そうしたチャンスメイクも含めて、明らかに仙台の攻撃リズムを作っていたのは武田だった。結局、終盤の81分に相良竜之介との交代で下がったが、攻勢をかけてくる磐田に主導権を渡し切らなかったことが、仙台に勝機をもたらしたと言える。ただし、やはり武田自身としては得点に直接絡むという仕事で勝利に貢献できなかったことは反省点として認識している。
得意とするFKのシーンでも「壁に当ててしまったので。キックは武器ですし、セットプレーをもっと大切にしたい」と悔やむ。また、流れから仙台の攻撃時間が短くなりやすい状況ではあったが、武田は「ミドルシュートだったりとか、狙えるところまでいかなきゃいけない。組み立てのところが多くて、擬似カウンターっぽく攻めるので。もっともっと前に、名古屋の稲垣祥選手じゃないですけど、こぼれ球とか狙っていけるような選手になりたい」と語る。
その武田が新たに刺激を受けたのは”古巣”の浦和がFIFAクラブワールドカップ(CWC)で3試合目に対戦した、モンテレイのMFネルソン・デオッサが左足で遠目から決めたスーパーゴールだった。