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Jリーグ 5か月前

渡辺皓太は苦しんでいた。でも「一旦いろいろな考えを捨てて…」。それこそが横浜F・マリノスに必要なプレー【コラム】

シリーズ:コラム text by 菊地正典 photo by Getty Images

「一旦いろいろな考えを捨てて」8試合ぶり先発

「むしろ気合いが入らなきゃおかしい状況でしたから」

 渡辺にとっては、リーグ戦で8試合ぶりのスタメン出場。それだけリーグ戦から離れたのは、4年前の夏に遡らなければならない。特にレギュラーとして活躍してきた過去2シーズンは、それだけリーグ戦から離れると想像する方が難しかった。

 しかし、今季の渡辺は苦しんできた。湘南戦を迎える時点で21試合中、渡辺がスタメン出場したのは10試合。半数を下回る。

 開幕から7試合連続でスタメン出場していたというのに、ここ14試合ではスタメンわずか3試合。湘南戦は8試合ぶりのスタメンだった。ポジションを失ったと言っても差し支えない状況である。

 レギュラーだった選手がこんな扱いを受けるのだから、外に向けた不満を感じてもおかしくない。だが、渡辺はわかっていた。

「今季は最初からなかなか自分のプレーが表現できていなかった」

 パフォーマンスが安定しない。調子が上がらない。思うようにプレーできないこと、そしてチームの結果が出ないことでさまざまなことが頭に浮かぶ。考えれば考えるほど、理想のプレーから遠ざかった。チームも勝てない。絵に書いたような悪循環に陥った。

 渡辺自身は途中出場が続く中、チームは3連敗した。シーズンで2度目の監督交代という異例の状況に陥った。クラブ史上初めてのJ2降格も現実味を増している。もうなりふり構ってはいられない。

 渡辺は決心してレモンガススタジアム平塚のピッチに立った。

「一旦いろいろな考えを捨てて、自分らしくプレーしよう」

 派手なプレーがあったわけではない。得点シーンでは一切ボールには絡んでいない。しかし、考えを改めた結果、渡辺は躍動する。

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