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Jリーグ 5か月前

「この状況を手放したくない」千葉寛汰はここからだ。清水エスパルスで戦える喜びを胸に「あれを決められる選手に」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

「また使ってみたい」「この状況を手放したくない」

 6月以降のリーグ戦では2分け3敗と勝利から見放され、気がつけば15位にまで後退した。そのうち3試合で無得点に終わっているチームを突きあげ、活性化させる選手が出てきてほしい。思いを託されたのが嶋本や千葉であり、途中出場した18歳の西原源樹だった。指揮官は試合後にこう語っている。

「全員がまた使ってみたいと思わせるようなパフォーマンスを見せてくれたし、われわれの競争力がまた高まったと思っている。ハイレベルな競争が個人、そしてチームを高めていくのが清水エスパルスだし、ニューヒーローがどんどん出てきて、先発で出ている選手を脅かしていくのはもちろんウェルカムです」

 絶好の先制機を逃した千葉は8分後の61分に、エースストライカーの北川航也との交代でベンチへと下がった。試合はベテランの乾貴士ら主力がそろい踏みしたなかで、延長戦の前半アディショナルタイムに、乾の左コーナーキックをこちらも怪我明けのFWドウグラス・タンキが頭で叩き込んで決着をつけた。

 天皇杯のベスト16進出を喜ぶとともに、チームメイトたちを延長戦まで戦わせてしまった自分を「本当に力不足だと思います」と責めながら、これから待つ戦いへ千葉は努めて上を向いた。

「(復帰後で)初めての先発でかなり気合いが入っていましたし、いまの自分に何ができるか、というところが試されたなかで、長い時間プレーして課題が明確になったと思っています。エスパルスというチームで、このエンブレムを背負って戦える喜びを誰よりも感じていますし、ずっとそれを目指してやってきました。いまのこの状況を手放したくないし、だからこそもっと、もっと活躍してチームの力になりたい」

 視線の先には幼いころに憧れ、ほどなくして目標に変わった元日本代表フォワードがいる。

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