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Jリーグ 5か月前

「世界を目指しているので」森壮一朗は自らを責めた。名古屋グランパス18歳は「それがサッカー選手だと思っている」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

「細かい点をあげればきりがないほど課題が出た」

 開始15分。センターサークル内でボールをもった森島司が、フリーで右サイドを駆けあがっていた森へパスを通す。ボールに対して回り込むようなコースを取りながら、森はワンタッチでアーリークロスを一閃する。しかし、ニアへ詰めてきた永井謙佑のシュートは、クロスバーを大きく超えてしまった。

「ニアで潰れてファーにスペースを作るイメージもあったなかで、ちょっと入りすぎてしまった。そこでシュートを打つときに、自分の軸足に当たらないように意識したら浮いてしまった。ああいうクロスを決めていけないといけないし、僕がチャンスを決めなかったので苦しい展開になってしまった」

 直前にもヘディングシュートを外している永井は、敗戦の責任を背負いながら森のクロスには賛辞を送った。もっとも、森自身は「いいクロスはあれだけでした」とここでも反省の言葉を紡いでいる。

「サイドを逆へ変えたときにスペースが生じるのは、チーム全体で事前にわかっていたこと。そこでチームメイトたちが自分を生かそうと前へ走らせてくれたし、実際に自分が一番得意とする形になりましたけど、何回もクロスをあげたなかで質のいいものはほとんどなかった。全然ダメですね。もっともっと突き詰めて、熊本戦のアシストのように結果にこだわっていくという点で、まだまだ課題を感じる試合になりました」

 名古屋U-18在籍中にプロ契約を結び、J1で13試合に出場していた2019年夏にヨーロッパへ羽ばたき、昨シーズンは英プレミアリーグでプレーした日本代表の菅原の背中を追う。試合後に何度も発した「まだまだ」には、ウイングバックやCB、サイドバックとして成長していく誓いが反映されている。

「自分のよさを出すところでは少しばかりできたと思いますけど、まだまだですね。細かい点をあげればきりがないほど課題が出たので、次の試合まで時間が空くなかで、練習のひとつひとつで自分の強みや課題を明確に噛砕いていっていい準備をしていきたい。それがサッカー選手だと思っているので」

 下を向いている時間すら惜しい。緊張と興奮とを交錯させたリーグ戦初先発で喫した完敗を糧に変えながら、身長180cm体重66kgとサイズも併せもつホープがプロの舞台で本格的な第一歩を踏み出した。

(取材・文:藤江直人)

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【了】
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