「その状況で負けていても、最後に勝つ」その言葉が持つ意味

　関川郁万、安西幸輝、師岡柊生が長期離脱を強いられ、戦力的には厳しい台所事情は続く。小池もキャンプ中も含めれば何度も離脱と復帰を繰り返している。かつてメスを入れた古傷の右脚には、今でもテーピングが巻かれている。

　満身創痍であっても、ピッチに立てばそれは言い訳にならない。小池は覚悟を持って、鹿島のエンブレムを背負っている。

「一人ひとりが球際で戦った結果、その状況で負けていても、最後に勝つことができた」

　大切なのは、その局面における勝敗ではない。チームが最終的に勝てるかどうかだ。たとえデュエルで負けたとしても、その次の瞬間に味方がボールを奪えれば、チームとしては勝ったことになる。まさに先制点の場面がそうだ。小池のプレスに行くという判断に舩橋が呼応し、レオ・セアラがそのバトンを受け継いだ。
　

　数字に残るゴールやアシストだけでなく、その背景には数字に表れない献身や意図のある守備、そして強い思いがある。小池龍太のような選手がチームを支え、そして勝利を引き寄せているのだ。

（取材・文：加藤健一）

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