「それが本当に得点に繋がったんで…」
「サイドハーフではよりハードワークっていうところを求められてくると思いますし、ボランチでは相手の嫌がるポジションに立ちながら前進していくところを気にかけています。今日はあのワンプレーでしたけど、それが本当に得点に繋がったんで、また今後に活きてくるんじゃないかなと思います」
本人も幅広いタスクをこなしながら決勝点に関与できたことを前向きに捉えている様子だったが、今季序盤を振り返ってみれば、彼はボランチの絶対的主軸だった選手。鬼木監督が長く指揮を執った川崎フロンターレの大島僚太の動画をチェックし、ボールの出し入れに磨きをかけようとしていたほどだ。
上昇気流に乗りかけた4月中旬に予期せぬ負傷。約1か月間の戦線離脱を強いられたことで、ボランチ陣の序列が一気に変化してしまう。若い舩橋が急成長し、三竿も復調。戻ってきた時には再び定位置をつかむところから再出発しなければならなくなっていたのである。
そんな悔しさも受け止めつつ、樋口はひたむきに流れを変える仕事を全うしている。彼のような地道に努力する選手がいたからこそ、鹿島は6〜7月にかけての苦境を乗り越え、現在に至っているのだろう。