瀬川祐輔はチームの攻撃の矢印を前に向けさせた
前半をベンチから見て、シャドーでプレーする仲間隼斗と渡井理己が苦しんでいると感じていた。湘南のプレスは積極的で、人に対する強度も高かった。自分が出ていたら何ができていただろうと考えても、あまりいいイメージが湧いたわけではない。
だが、チームが44分にリードすると、後半の様相は変わった。1点を奪いにくる湘南が前掛かりになり、スペースが生まれていた。
「大事にしたかったのは、ゴールに向かうパスと直結する動き。それは本当に大事にしたかった。ずっとポゼッションできるのはレイソルの良さだけど、選択によっては相手にとっての怖さがなくなる。逆に湘南は(ルイス・)フェリッピが入ってカウンターが鋭くなるだろうと。だからシュートで終わろう、攻め切ろうと意識しました」
その結果、躍動感と迫力のあるプレーを見せ続け、チームの攻撃の矢印を前に向けさせた。
葛藤もある。柏はボールを大事にしながら、確率の高い選択をしていくため、ゴールに直結するプレーが失敗に終われば、状況によっては無駄に急いだように映る。
「今日もありましたけど、例えばクロスをGKにキャッチされたら、結果的には上げなきゃよかったじゃん、ということにもなります。でも、ボールは握れるし、何回もやればいいと思うんです。
今日3本くらいあったのは、ニアゾーンに走り込んでワンタッチでクロスを上げるのか、やり直すのか。もし監督から『あそこはやり直せ』と言われるなら従いたいと思いますけど、そういう場面でクロスやシュートを選択する意識はなくしたくないです。そういう選択をしない選手は、相手からすると楽なので」