小池龍太の姿を見て感じるもの
「自分はタイトルを取っている選手として入ってきたし、オニ(鬼木)さんと自分でこの経験とかこれから迫ってくるプレッシャーとか、そういったものを跳ね除けていかないといけない。それは自分たちが(何をする)とかじゃなくて、見て感じてもらえるものがあると思う」
タスキを受けた選手たちが、雨脚が強まる味の素スタジアムを駆け回る。知念慶は何度もデュエルを挑み、松村優太はこれでもかとチェイシングを繰り返す。田川亨介はたとえパスが出てこなくても何度も動きなおしてボールを呼び込んだ。
先発で出た11人の我慢強さと、タスキを受けた選手たちの躍動が、決勝点を生んだ。3試合連続で試合終盤に決勝点が生まれているだけでなく、それを決めたのはいずれも途中出場の選手だ。小池の言う、見て感じてもらえるものが確実にあると言っていい。
「前半を耐えきったことがすべてだと思うし、タイトルを取るところで言うと、そういった我慢強さ、それでも試合をもってくる、勝ちにする、勝ち点を落とさないというところが、この一戦では評価すべきポイントなんじゃないかと思います」
後半開始から出場した知念は言う。
「自分の仕事、自分のできることとできないことはある程度わかっている。出るときは難しいことをしないでできることをしろっていう感じで投入されていると思うんで、そこは整理できている」
それぞれが自分に課された役割を、鹿島が勝つために全うする。そして、小池のようにチームのために自分を犠牲にできる選手の上に、鹿島というチームが成り立っている。それができている限り、鹿島は勝ち続けることができる。
(取材・文:加藤健一)
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