3位:徳島ヴォルティス
移籍補償金等収入:7億1100万円
退団した選手例:カカ、オリオラ・サンデー、橋本健人など
J2を戦う徳島ヴォルティスの2024年度の売上は27.31億円。前年が20.92億円だったことを考えると、驚異的な伸び率だ。純利益も1.02億円計上しており、昨年度はポジティブな決算だったと言って差し支えないだろう。
しかし、その再現性が気がかりだ。というのも、昨年度の売上に大きく寄与したのが、まさに移籍補償金による収入だからだ。オリオラ・サンデーや橋本健人らが完全移籍を果たしたことでもクラブに利益をもたらしたが、7億1100万円の内訳はほぼ「ひとり」によるものだ。
その選手こそ、財政難に苦しんでいたクルゼイロから完全移籍で徳島に加入したブラジル人DFカカである。2021年に来日した同選手は、およそ2シーズンにわたって同クラブの主力として活躍した。
2023シーズンの途中から構想外になると、同年7月には母国のアトレチコ・パラナエンセにレンタルで加入。そこで徐々に感覚を取り戻し、シーズン途中の移籍ながら19試合に出場して2ゴールをあげた。
その活躍に目を付けた名門・コリンチャンスがカカの獲得に乗り出し、ローン移籍を経たのち、完全移籍が成立。そのときに支払われた金額は、390万ユーロ(6.2億円)にのぼる。
すなわち、徳島がそれ以外の取引であげた収益は1億に満たず、彼が残した6億越えの移籍金がなければ黒字決算も可能だったか怪しいところだ。事実、2024年度の決算ではスポンサー収入と入場料収入の両方で前年度より落ち込みを見せている。
有望株を再び売却するにも、カカはJリーグの歴史上でも屈指の高額取引だった。同程度の契約を狙うのは容易ではない。それゆえに、やはり再現性を積極的に期待するのは現実的でないように見える。
