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Jリーグ 4か月前

「あの子なりに」高井幸大は人知れず苦労していた。横浜F・マリノスと川崎フロンターレの狭間で…「だからCBで育てたい」【コラム】

シリーズ:コラム text by 江藤高志 photo by Getty Images

コンバートの経緯「だからセンターバックで育てたいなって」

「身長も大きかったし、来る前はFWとかをやってたんですが、セレクションで見るタイミングのところで、後ろをやらせたいなっていう感じで。ぱっと見の雰囲気、立ち姿とか、そういうところですかね。あとは純粋にサイズが大きかった。だからセンターバック(CB)で育てたいなって感じの子でした」

 ちなみにDFへのコンバートを伝えられた当時の高井は、好んでという感じではなかったという。

「CBでってところで、コウタには伝えたと思うんですが、だけどコウタ的にはあんまり、自分から好んでって感じではなかったような気がします。自チームではFWをやってましたからね」

 結果的に高井はその後、DFとしてA代表にまで駆け上がったのだから結果論で言うとコンバートは正解だった。

 冒頭にも記した通り、川崎U-12加入当初の高井は、足元に秀でていた選手だというわけではなかった。もちろん選手個々、個性はあり、また育成のスピードには違いが出てくるが、高井が良かったのは、素直でおっとりとした性格だったということもあるようだ。

「変わらないですよね。今の感じのままです。なんかほわっとしてるように見えて、(実際に)ほわっとしてるし。なんか良くも悪くも、なんだろうな。今と変わらないですよね」

 ほわっとしてというと、あまりいいイメージには取られないかもしれないが、別の言い方をすれば、物怖じしないタイプだということ。

「性格的には物怖じしないタイプ。だから、世界に飛び込んでいくのは、合ってるとは思います」

 物怖じしない性格だからこそ17歳という若さでプロ契約を結び、環境の変化にも適応し成長を続けられたのだろう。

 最初は苦労していたという技術の部分も、お母さんが言うように、人知れず続けた努力で習得。それが今につながるのだからまさに努力は人を裏切らないということ。今後、日本とは明らかに異質なイングランドでの日々にも適応するに違いない。

 トッテナム・ホットスパーは公式サイトで契約は2030年までと発表。また英国側の報道によれば移籍金は500万ポンド(約9億5000万円)で、Jリーグ史上最高額での移籍となる。移籍金を残すという点ではクラブにはメリットがあるが、強化部の複数の関係者からは、最後にタイトルを置き土産にしてほしかった、との声は大きかった。

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