「悔しい思いをしてる選手はいると思いますけど…」
松本ら控えに回っているメンバーが一気にギアを上げ、敵を突き放すような活力を与えていくこと。それこそが、J1、天皇杯、YBCルヴァンカップという3つのトーナメントを並行して戦っていく今季終盤戦の浦和にとっての大きなポイントなのだ。
そういう視点で見ると、この日の後半はやや不完全燃焼感が強かったと言わざるを得ない。名古屋に1失点を許し、終盤は猛攻を仕掛けられたからだ。最終的に守護神・西川周作のスーパーセーブが飛び出し、何とか2−1で逃げ切ったものの、終盤になって失速するような戦い方を続けていたら、無冠に終わってしまうケースもないとは言い切れない。世界の大舞台を経験したクラブとして、それだけは絶対に回避しなければならないのだ。
「僕は広島時代にルヴァンを取ったことがありますけど、やっぱり重要なのはチーム力。スタメンで出れない選手、悔しい思いをしてる選手はいると思いますけど、そこでチームのために何ができるかっていうのがすごく大事。優勝するためには、ベンチだったり、ベンチ外の選手だったり、全員の力が必要。チームが1つになって1つの目標に向かって前向きになることが一番いいと思います」
この日、久しぶりに60分以上プレーした松本には率先してそういう雰囲気を作っていってほしいところ。名古屋戦勝利で勝ち点を44まで伸ばし、暫定首位の京都サンガと4ポイントまで迫ってきた今だからこそ、より強固な一体感が求められてくるのだ。
8月22日の次戦は柏レイソルとの上位対決。浦和の命運を左右する大一番になる。そこに向けて、背番号6には持ち前の賢さと献身性を生かしつつ、ゴールに直結する仕事を見せる準備をしてもらいたい。小森の長期離脱が見込まれる今、松本の存在がより重要になってくるのは事実である。
(取材・文:元川悦子)
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