“アタッキングフットボール”の重要なピース・井上潮音
倍井による2点目のシーンは井上が直接ボールを触ることはなかったが、ジョルディ・クルークスが得たFKから全体を押し上げた状態で、井上が右サイドバックから中に流れた為田にスペースを与えたことで、クルークスのクロスからグスタボが受けて、最後は左からゴール前に飛び込んだ倍井が決めるという流れを生んだ。
ボールを持てば正確に長短のパスを出してリズムを作り、ボールに触らなくても、効果的なポジショニングで相手のディフェンスを動かしたり、周りの選手にプレースペースを与える。
磐田はジョン・ハッチンソン監督が掲げる“アタッキングフットボール”のもと、ビルドアップも継続的に強化してきたが、タイトにハイプレスをかけてくる相手に苦しむと、前向きなプレーが出せなくなってしまう傾向が見られた。狭いところでも難なくボールを捌けて、ほとんどミスをしない井上の存在は重要なピースになりうる。
前半は磐田が主導権を握ったが、首位の水戸も0-2とリードされた状況で、押し返して来ないはずがない。79分にPKから、相手エースの渡邉新太に今シーズン12得点目のゴールを決められて1点差にされると、その直後にカウンターから大きなピンチとなり、リカルド・グラッサが間一髪のカバーで防いだ。
それに関連して水戸のFW根本凌が負傷し、試合が止まってる間に磐田は上原と井上を中心に集まり、終盤の戦い方を決めた。