「今の草太の状態だったら」
ここでスキッベ監督は背番号9の投入を決断。ジャーメインは後半頭からジェルマンと交代し、2シャドウの一角に入った。木下康介が最前線に位置し、彼が一列後ろで中村草太と並ぶというのは、E-1のサッカー日本代表に近い形。そういう意味でもゴールへの期待が高まった。
実際にチャンスが訪れたのは50分。中野の長いパスに反応し、ペナルティエリアに持ち込んで抜け出そうとしたシーンだ。これは惜しくもDFに当たり、フィニッシュまで行けずに終わってしまった。
その後も彼は虎視眈々とゴールを窺ったが、60分に木下が交代。1トップにポジションを移動することになる。ジャーメインにしてみれば、E-1で得点を量産したシャドウの方がやりやすい思いもあるだろうが、チーム事情が優先されるのは仕方ない。本人としては、得点よりも起点となる仕事や前線からの守備で貢献しようと割り切ったに違いない。
その献身的姿勢が62分の2点目につながる。広島は斎藤功佑のバックパスを中村草太がカット。ジャーメインがいったん受け、足を伸ばして前のスペースに蹴り出した。ここに中村が走り込んで、GKマテウスをかわして左足を一閃。勝利を引き寄せる一撃をお見舞いしたのである。
「今の草太の状態だったら、背後に流せちゃえば決めてくれるかなと。(自分は)脚長いんで、ギリギリ触れました」と得点をお膳立てしたジャーメインは笑顔をのぞかせた。