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長友佑都 10年前

曲者攻撃陣を完全封鎖、守備で本領発揮。攻撃が“売り”の長友佑都が見せたDFとしての本分

text by 神尾光臣 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

十分出来ていた守備対応

 面白かったのは17分のプレーだ。パルマのDF陣がボールを奪い、ビアビアニーを狙ってロングボールを出そうとしたとき、スペースへ走らせまいとして懸命に体を張る。駆け引きの結果長友は相手を弾き出し、ボールの落下点へ悠々とポジションを取った。攻撃面での貢献が目立つようになった長友だが、この日は久々に守備での激しいマークを披露していた。

 もちろん闇雲に一人に張り付くだけでなく、守備での連係も出来ている。抜けたところでロランドにマークを明け渡し、また逆にサポートにも入り数的優位を作る。ビアビアニーをケアしながらも、ゾーンを崩さない守備が出来ていた。

 チームとしても、主導権はパルマに譲りながらも最終ラインの突破を許さず、堅実に相手の攻撃をコントロールする。それでもサムエルがファウルでPKを献上するものの、ハンダノビッチがこれをストップ。

 さらに後半立ち上がりにはパレッタが2枚目のイエローで退場し、さらにそのFKから先取点と、幸運も味方したとはいえインテルは確実に勝利へのシナリオを描いていた。

 肝心なのはここからである。前線には一発のパスで局面を崩せるカッサーノ、それに付いてくるビアビアニーがいて、人数が少ないカウンターでもピンチになる可能性があるのだ。そこからも長友は集中力を切らさず、ビアビアニーに対して完璧に近い対応を見せた。

 後半の6分だ。カウンターからパルマは左サイドを崩し、深い位置からクロスが入ってくる。これに対してビアビアニーが右から鋭角に入り込み、ゴールを狙ってきた。ダイアゴナルのランニングはDFが視野に入れにくく、しかもスピードがある。パルマの重要な攻撃パターンの一つである。

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