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Jリーグ 9年前

広島、奪冠のカギはツーシャドー。「縦への推進力」はクリア。3枚のカードで変化を生み出せるか

09年のJ1復帰以降、トップクラブの一角となったサンフレッチェ広島。それでもオフには主力流出への対応を迫られている。高萩と石原が抜けた今季、カギを握るのがツーシャドーの起用法だ。森崎浩司と浅野のコンビは縦への推進力という課題をクリアしたものの、チームには終盤でのスピードアップという課題が残る。

text by 竹島史雄 photo by Getty Images

7選手をシャッフルしつつテストした森保監督

広島、奪冠のカギはツーシャドー。「縦への推進力」はクリア。3枚のカードで変化を生み出せるか
森保一監督【写真:Getty Images】

 サンフレッチェ広島のここ数年のオフは「今年も主力が抜けた」とお手上げの冬を過ごしてきた。2015年に向けては、広島名物お好み焼き屋に行っても口をそろえて「高萩と石原が抜けて…」と重ね焼きされた上に、鉄板プレスされてしまった。

 森保一監督も、「毎年チームを作り直さないといけないのでつらい」とキャンプ中にこぼしたものだ。だか、ここで不屈の芽を出すのもまたサンフレッチェ広島。今年はキャンプ中を通じて、新ツーシャドーの組み合わせが注目される中、森保監督は複数選手で毎回コンビを変えながら試す方法を重ねてきた。

 候補は現有戦力からは森﨑浩司、野津田岳人のユースはえぬき、野津田と同学年ライバルの浅野拓磨、前年から所属する柴﨑晃成、ユースから大学を経て2年目の茶島雄介。新戦力からは10年ぶりのブラジル籍選手を獲得したドウグラス、かつてのオシム・チルドレン工藤浩平と7人を森保監督のいう「シャッフル」しながらトレーニング・練習試合を通じて試してきた。

 果たしてJ1の開幕戦。出した答えはベテラン森﨑浩司と20歳の浅野拓磨。開幕前に森保監督の「コンビネーションと、個に特徴のある選手、90分走れる選手」という基準を提示したが、森﨑浩司には、パートナーを使いながら自身も3人目の動きで活きる、さながらシャドー領域での選手兼講師の役割を託し、浅野拓磨には周りの選手も口をそろえる「爆発的スピード」での推進力を求めた。

 サンフレッチェのストライカーは言わずと知れた佐藤寿人。佐藤のスタイルを最大限に活かすために攻撃の基本は「縦への簡単な攻め」である。

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