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香川真司 9年前

「これがチームの現状」。延長制すも苦しんだドルトムント。香川も指摘する“ラスト3分の1”で課題残す

text by 本田千尋 photo by Getty Images

準決勝へ“勝って兜の緒を締めよ”

「これがチームの現状」。延長制すも苦しんだドルトムント。香川も指摘する“ラスト3分の1”で課題残す
ユルゲン・クロップ監督【写真:Getty Images】

 そんな中で、サイドを起点として効果的な攻撃を仕掛けるという、チーム戦術の向上は見られていただけに、先の2失点はやはり不用意だったと言わざるを得ない。香川も「ミス絡みの失点だった」と振り返っている。

 それは残留争いに苦しんだ前半戦に多く見られたものだ。後半戦に入ってからは、フンメルスを中心にディフェンスは安定して来たが、少し以前の姿に戻ってしまった格好である。もっとも、この試合でフンメルスはベンチ外で、先発に名を連ねてはいなかったのだが。

 57分に、ドゥルムの右サイドからのクロスを、オーバメヤンがヘッドで合わせて同点としたことで、試合は延長戦へと突入する。

 延長に入る際に、トップ下で先発した香川はクロップから「もっとボールを受けて、逆サイドに散らして、シュートに関わるボールや、もっと最後の質を高めろ」と声を掛けられたという。少なくとも前後半の90分では、クロップは香川に満足はしなかったようだ。

 しかし延長も後半に入った107分、ケールが素晴らしいミドルシュートを決める。クロップも「あんなことが出来るなんて知らなかった」と舌を巻いた。このゲームの苦しみを全て吹き飛ばすような、エモーショナルな感動がスタジアムを覆った。しかしそれで2失点の仕方までが帳消しにはならないだろう。

 結果的にドルトムントはDFBポカールの準決勝に進んだが、勝って兜の緒を締める必要はありそうだ。

【了】

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