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U-21欧州選手権を制した「スウェーデン・モデル」。失われつつある原点を示した“北欧の若き古豪”

U-21欧州選手権で優勝という快挙を成し遂げたスウェーデン。A代表は近年のW杯やEUROにおいて欧州予選突破が関の山となっているが、このU-21代表はかつて世界大会で躍進を見せた「スウェーデン・モデル」への回帰を示した。

text by 鈴木肇 photo by Getty Images

「団結とはどうあるべきかを今回の若いチームは示してくれた」

U-21欧州選手権を制した「スウェーデン・モデル」。失われつつある原点を示した“北欧の若き古豪”
U-21欧州選手権は伏兵スウェーデンがPK戦の末、優勝を飾った【写真:Getty Images】

 U-21欧州選手権の決勝が6月30日にチェコで行われ、伏兵スウェーデンがPK戦の末ポルトガルを下し、優勝を飾った。ドイツやイタリア、イングランドといった強豪国を抑えての栄冠に周囲は驚きを隠せない。

 北欧の古豪が躍進した背景は何なのか。チーム関係者、それに元A代表選手のコメントを紐解くと、この若き代表チームには現在の同国サッカーで忘れられつつある「スウェーデンらしさ」があった。

「このチームの最大の強みはディフェンス。選手全員がチームのためにハードワークをしている」

 今大会のスウェーデンをこう評したのは、ラーシュ・ラーゲルベック氏。2000年から2009年までスウェーデンA代表の監督を務め、現在はアイスランド代表を率いて来年のEURO本大会出場を目指す同氏は、チェコで輝いた自国の代表チームの戦いぶりに感銘を受けているようだった。

 ほかのサッカー関係者もラーゲルベック氏と同じような見方をしている。1990年代半ばから2000年代半ばまでフル代表で活躍したニクラス・アレクサンデション氏もそのひとりだ。

 今回のチームで主力だったヨン・グイデッティやオスカル・ヒルイェマルクらが生まれた1992年にU-21欧州選手権で準優勝に輝いた当時の代表チームでプレーした同氏が後輩たちの戦いぶりの特徴として挙げたキーワードが「コレクティビティ」と「チームスピリット」。そしてこの2つこそが典型的なスウェーデン代表らしさだと考えている。

 現役時代はイタリアのパルマなどでプレーし、1994年米国W杯では代表チームの3位入賞に大きく貢献したトーマス・ブロリン氏は「ピッチ上での選手たちはお互いを高めあっていた。こういうスウェーデン代表を目にしたのは1994年W杯以来。団結とはどうあるべきかを今回の若いチームは示してくれた」と評価した。

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