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日本代表 9年前

惨敗の中で見えたハリル流。時期尚早な結果批判、問われる代表批評のあり方

text by 河治良幸 photo by Getty Images

進歩が見られたディフェンス面

惨敗の中で見えたハリル流。時期尚早な結果批判、問われる代表批評のあり方
日本対中国のフォーメーション

 これに対し、中国はジ・シアンが時間を作って宇佐美を引き付け、その間にユ・ダバオが斜めに走って宇佐美の背後にボールを出させたが、そこには再び山口が迫り、ユ・ダバオがウ・レイにパスを出すと、今後は米倉恒貴と遠藤航が挟みにいった。

 その間に山口が米倉のカバーに回ったことで一瞬、ユ・ダバオがワイドでフリーになったかと思いきや、今度は宇佐美がプレスバックに行き、米倉も内側からプレッシャーをかけた。そして、ユ・ダバオが慌てて前にボールを出すと、ウ・レイが動いて受けようとしたところには山口が待ち構えていた。

 一連の流れにおいて、DFラインで直接ディフェンスに関わったのは左SBの米倉だけ。丹羽大輝、森重真人、槙野智章という守備を専門とする3人はラインを高く維持して対応に備えていた。中国としては点を取られた直後で前に攻撃人数をかけたい場面だったが、アタッキングサードまで進出できずにボールを奪われたのだ。

 この短い時間に宇佐美は3度ボールホルダーを追っている。クロスバーに嫌われたシュートも含め何度か見せ場は作った宇佐美だが、結局はエースとしての大きな仕事をできないまま大会を終えることとなった。

 しかし、こうしたディフェンス面に関しては3月の試合からかなりの進歩が見られる。単に頑張って走るだけでなく、的確に要求されるポイントをチェックしているのだ。

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