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Jリーグ 8年前

G大阪の選手が新スタで抱く決意。宇佐美が覚えた“既視感”は夢舞台誕生の証左か

text by 藤江直人 photo by Getty Images

屋根で全席で覆いながらも日照量は確保

飄々としながらも熱い思いをのぞかせた遠藤保仁
飄々としながらも熱い思いをのぞかせた遠藤保仁【写真:Getty Images】

 この1月で36歳になったベテランのMF遠藤保仁は、いつものように飄々としていた。昨シーズンまでと同様に左腕にキャプテンマークを巻いてはいたものの、右足の甲に違和感を覚えていたこともあり、セットプレーのキッカーを藤本と宇佐美に託した。

 前半36分にMF今野泰幸が決めた2点目は、藤本の左足から放たれた正確なフリーキックによってアシストされた。後半21分の3点目は前述した通りだ。

 特に昨シーズンまで不在だった左利きのキッカーが加入したことを受けて、「セットプレーでもゴールできるようにしていきたい」とこう続けた。

「(藤本)淳吾もいいボールを蹴っていましたからね。まあ、僕が蹴るボールは嫌というほど見ているだろうから、今日は試合前から監督に『蹴らない』と伝えていました」

 もっとも、新スタジアムへの感触を問われると、淡々とした口調のなかにも、高ぶってくる熱い思いをのぞかせてもいる。それだけ、3万5271人で埋まった空間は刺激的だった。

「スタンドの上のほうまでお客さんが入っていましたし、これだけ毎試合入れば素晴らしいスタジアムになっていく、応援の声も自然と大きくなっていくのかなと。雰囲気も非常にいいですし、プレーしている側にはモチベーションが上がる以外の何物でもないと思いますけどね」

 長短の正確なパスを配給して攻撃にリズムをつけ、相手守備網の急所を突く遠藤のプレースタイルと、芝生の状態は切り離して語れない。一方でノアビアスタジアム神戸に代表されるように、全席が屋根に覆われたスタジアムは日照不足が原因となり、芝生が発育不足に陥るケースが少なくない。

 そうした失敗例を生かして、市立吹田サッカースタジアムは南側の屋根をガラス張りとして一定の日射量を確保。さらにピッチレベルには4隅に通風口を設け、自然の風を取り入れる構造とした。

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