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EURO2016 8年前

スペインを破壊したイタリアの戦術プランとは? “コンテ・アズーリ”が魅せた予想外のスペクタクル

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

スペインのパスワークを封じたイタリア

イタリア
イタリアは予想外のスペクタクルな展開でスペインに勝利した【写真:Getty Images】

 スペインの華麗なパスワークは、決して攻撃的MFの美技によってのみ作り出されているわけではなく、最終ラインからの正確なビルドアップがあるからこそ可能となるのだ。そこに猛然とプレッシャーを掛けたため、後方からのパスワークはすべて遅れ、コースも限定された。

 そしてボールは中盤のルーズなゾーンにこぼれてくる。そのボールに対して先回りするのも常にイタリアで、奪ったボールはワンタッチで前線かサイドに当てられる。するとエデルとジャッケリーニは、がら空きになっていたブスケツの両脇のスペースへと流れる。そこを利用して、イタリアは次々と速攻を決めた。

 ペッレのシンプルなポストプレーを軸に、両ウイングバックも絡み、人数もかけたカウンター。前半33分の先取点はセットプレーからのチャンスでもぎ取ったものだが、そのFKは狙い通りの速攻からペッレが倒されたことで得たものだ。さらにダビド・デ・ヘアが前半に2度ビッグセーブを決めていなければ、勝負は前半のうちに決していた可能性もあった。

 後半になるとスペインがキープ率を上げて攻めてくるが、ゴール前のスペースは譲らない。アンドレス・イニエスタがボールを触る回数は増えても、ビルドアップが機能しないので下がってボールを触ろうとしたに過ぎず、怖さはなかった。もっともミドルシュートを枠内に放たれてはいるが、これにはジャンルイジ・ブッフォンが立ちはだかった。

 そんなイタリアの選手たちも、さすがに75分以降は疲労で足が止まりかけていた。しかし、そこから粘ったのもまた見事だった。特にフロレンツィ、そしてマッティア・デ・シリオの両サイドは、最終ラインのカバーや1対1の守備に奔走を続けた。

 さらには終盤に投入された選手たちも、短い時間ながら実直に闘った。しかも、アディショナルタイムの得点にも絡む。起点となったのはロレンツォ・インシーニェのクレバーなサイドチェンジ、それに追いついて右サイドからクロスを上げたのは同じく途中出場のマッテオ・ダルミアンだった。

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