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日本代表 10年前

いまだ定まらぬザックジャパンの1トップ。タイプ違う柿谷と大迫をどう起用すべきなのか?

text by 河治良幸 photo by Asuka Kudo / Football Channel

まだ合っていない柿谷と周囲のタイミング

「柿谷に関しては日本人的ではない部分がある。日本にはポゼッションであったり、パスをつなぐ、コンビネーションで相手ゴールに迫っていくというサッカー文化があり、それはJリーグでも良く見られる。しかし彼の場合は一発で裏に抜けることを好み、抜けるタイミングというものを持っている」

いまだ定まらぬザックジャパンの1トップ。タイプ違う柿谷と大迫をどう起用すべきなのか?
柿谷自身は「ボールを直接受けなくても、高い位置を取り続けることが大事」と語る【写真:工藤明日香 / フットボールチャンネル】

 ザッケローニ監督がそう評価する柿谷だが、彼自身は「ボールを直接受けなくても、高い位置を取り続けることが大事」と語り、ボールを触る回数が少なくても、相手のディフェンスにオフサイドラインを意識させることで、攻撃に良い影響を与えられるという自負はある様だ。

 ただ、それにしても“ここ”というタイミングで中盤の選手からあまりに縦パスが出てこないため、本来の持ち味である裏に抜けて正確な技術でフィニッシュに持ち込む形を出せていないのが現状だ。

 セルビア戦やベラルーシ戦でも、ポゼッションから本田や香川と近い距離のワンツーなどで崩しかける場面はあったものの、縦のボールが出てきたのはディフェンスからの分かりやすいタイミングでのものがほとんど。

 ベラルーシ戦の前半はベンチで戦況を見守っていた山口螢が「ボランチとかがボールを持った時はまず裏に動き出していた。それを誰も見てなかったというか、見ていたとしても出してなかった。曜一朗くんの持ち味なのに、そこを活かし切れてなかった」と指摘するのも無理もない内容だった。

 ザッケローニ監督は「チームメートも彼の特徴を活かしていく時間が必要だ。柿谷は裏に抜けるだけでなく、下りてきてコンビネーションを生かすこともできるが、彼の特徴というものを周囲も理解する必要がある」と語る。

 周りと意識が噛み合えば、十分に能力を発揮できると考えている様だ。そうでなければ、これまでとタイプの異なる柿谷を1トップで使い続ける意味は無いだろう。

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