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香川真司 10年前

CLレバークーゼン戦で5得点のマンUを牽引。なぜ香川はトップ下起用で輝けたのか?

text by 内藤秀明 photo by Ryota Harada

キャリックの穴を埋めたギグス、ファン・ペルシーの穴を埋めた香川

 キャリックがいる時といない時では、ユナイテッドのポゼッションの質は完全に変わる。キャリックは、基本的に右利きだが、両足でボールを扱えて、良い姿勢でピッチ全体を見渡せるので視野が広い。そして、リズムよく短いボール、長いボール、速いボール、遅いボールを両足で使い分け、その姿はピッチ上の指揮官のようだ。

 故に、キャリックがいない時のユナイテッドは、どうしてもピッチを広く使うことができず、リズムが悪くなってしまう。しかし、この日に関しては、今週の金曜日には40歳の誕生日を迎えるライアン・ギグスが、キャリックの代役を果たした。

 元ウインガーのベテランは、キャリックほどピッチを広く使うプレーがうまくない。ただし、パスの合間に、切れ味衰えぬドリブルを交ぜることで、相手のマークをずらし、サイドチェンジなしでフリーの選手をつくりだす。そして、直接、またはルーニー等、他の選手経由で、フリーの香川に何度もボールが渡った。

 レバークーゼン戦の香川は、普段と違い我慢して高い位置に留まり続けたため、ボールに触る回数自体はそこまで多くなかったが、よい形でボールを受ける回数は多かった。

 また、香川はファン・ペルシーのように独力で状況を打開し得点を決めることはできない。しかし、ショートパスを中心に周りの選手をうまく使い、よいリズムを創出。周りの得点機会の起点になり続けた。

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