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長友佑都 10年前

失点につながるミスも90分では“悪くなかった”長友。ザックも「過小評価されている」と高い評価

text by 神尾光臣 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

一瞬のミスが致命的に

 ところが、この時間帯にミスが出る。オーバーラップを仕掛けてきた対面のカバンダをとめようとした長友は、「安易に『ボール取れるかな』と思って」つい足を出す。

 これが中途半端で、先に足を延ばしたカバンダがボールに触れて長友をかわしてしまう。そしてボールはカンドレーバへと繋がり、彼の右クロスからクローゼが芸術的なダイレクトボレーを決めた。

 失点の直接の原因は、クローゼをみすみす前に出したラノッキアや、クロスを挙げさせる前にカンドレーバを食い止められなかった味方にあるのかもしれない。しかしゴールから遠いところで犯した些細なミスも、カウンターに繋がってしまうことがある。本人も反省していたが、軽い対応は厳禁だった。

 点の出入りが少ないという性格上、サッカーでは一瞬のミスが致命的になってしまう。だからこそ集中した対応と、徹底したリスク回避が求められるのだ。

 今季、長友のプレーは攻撃面でよりアグレッシブなものになり、90分トータルで見れば守備も落ち着いた。今後はその中で、集中力を持続させ軽い対処を一度たりともしないようにすることが重要となるだろう。

 それが出来れば文字通りトッププレイヤーの領域なのだが、本人が『世界最高のサイドバック』を目標に掲げている以上、解決すべき課題であると言える。W杯イヤーの今年、課題の提起で始まったことはある意味幸せなスタートなのかもしれない。

【了】

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