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香川真司 10年前

モイーズ監督は認めていないが――。香川トップ下起用がマンUの低迷を打破する理由

新年早々12年振りの3連敗。現在、21試合消化時点で勝ち点37のリーグ7位、来季の欧州CL出場権に黄信号がともったマンチェスター・ユナイテッドだが、問題は金属疲労を起こしたような攻撃パフォーマンス。その苦境を打破する鍵は、スウォンジー戦で見せた香川のトップ下にあるはずだ。

シリーズ:フットボール母国の神髄 text by 森昌利 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

ヤヌザイへの「9点」。妥当か?

 まあこれも、日本人ライターのひいき目なのかも知れないが、1月12日付の英各紙の論調には少々辟易とした。

モイーズ監督は認めていないが――。香川トップ下起用がマンUの低迷を打破する理由
どこもアドナン・ヤヌザイを大絶賛だが…【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 どこも18歳MFアドナン・ヤヌザイ大絶賛。確かに活きが良く、ゴールに結びつくクロスも放ったが、ザ・サンやテレグラフの「9点」という採点はどうだろう。まるでハットトリックでも達成したかのような騒ぎだ。

 ドリブルで左サイドを抜ける姿がかつてのライアン・ギグスを彷彿させ、その人気をあおるのも分かるが、11日のスウォンジー戦、マンチェスター・ユナイテッドのもうひとつの勝因が“香川のトップ下”だったことは間違いない。

 前半のユナイテッドはまさに凡庸だった。相手がつなぐスウォンジーだったとはいえ、ボール支配率はなんとアウェイのスウォンジーが65%と圧倒した。

 香川本人のタッチ数も前半はわずかに26。普通の調子で、30半ばのタッチ数がある日本代表MFにしてみれば「乏しい」といっていい内容だった。

 それが後半一変した。

 理由はただひとつ。アドナン・ヤヌザイと香川真司のポジション・チェンジだ。

 ドルトムントで欧州でも屈指のトップ下にのし上がった香川が、得意のポジションに戻って本来の力を発揮したことで、マンチェスター・ユナイテッドに今年初めての勝利が転がり込んで来た。

 タッチ数も後半は47。するすると1.5列目を滑るように右へ左へ動き回り、味方の連携の要になった。

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