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2015年の君たちは――。東京ヴェルディユース、花の92年組を追って:第4回 南部健造・牧野修造(ともに中京大3年)

「追いついた、差を詰められたという実感はなかなか……」

 一方、牧野にとって、あの夏は苦い記憶を呼び起こす。クラブユースサッカー選手権の優勝、天皇杯への出場、いずれもベンチにすら入れず、蚊帳の外に置かれた。牧野はパッサーであり、小林とポジション、プレースタイルがもろにかぶった。

「悔しさしかないですね。メンバーに入れなかったのは自分の実力不足。特にユウキはチームで絶対的な存在だった。足元の技術、シュートの決定力、認めなければいけない差だと感じました」

 牧野は中京大に進み、4年後には関東の大学進学組を逆転し、ひと足先にプロの世界で戦う同期に追いつくと心に決めた。

「追いついた、差を詰められたという実感はなかなか……。どうなんでしょうね、あまり変わっていないような気もするし。まして、ユウキたちは厳しいプロの環境で3年やっている。差はさらに広がっていると考えるのが自然です。

 ただ、僕にとっては1年から公式戦を重ねて得られることは本当に多かった。ユースの頃は自分たちがゲームを支配するのが当たり前でしたが、大学では相手にボールを持たれる時間が長いゲームも珍しくない。単純に、やらなければいけない仕事が増え、同時に課題がクローズアップされた。対応の幅は確実に広がったと感じます」

 牧野が雪辱を果たすためには、同じ舞台に上がり、勝負を挑むしかない。そこで打ち負かし、初めて証明される類いのものだろう。

 年に3回程度あるJクラブとの練習試合はプロの水準を知る貴重な機会だ。近場の名古屋グランパスや磐田の胸を借りることが多い。

「頭の回転、状況判断のスピードと正確性が段違い。自分のプレースタイルは、いかにパスをスムーズにさばき、かつ効果的な攻撃につなげられるか。そこでもたもたしていたら、いいところがなくなってしまう。より高いレベルを意識して、プレーしています」

【次ページ】それぞれの進路
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